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山行記録

南アルプス 北岳 2012/01/07-09

メンバー: P(CL)、R
天候: (7日)晴れ、(8日)晴れ、(9日)小雪のち曇りのち晴れ
タイム:
<1/7>
新宿駅(前日23:54)<電車>甲府駅(02:21-02:30)<タクシー>夜叉神峠登山口ゲート(03:30)→南アルプス林道途中=仮眠(04:30-08:10)→鷲住山入口(08:35)→野呂川発電所(09:35-10:00)→あるき沢橋(10:35-10:50)→池山小屋(13:35-14:20)→城峰(15:20)→幕営地(16:10)幕営
<1/8>
幕営地(06:55)→砂払(07:15-07:30)→ボーコン沢ノ頭(08:10-08:15)→八本歯ノ頭(09:20)→八本歯ノコル(09:40-09:45)→トラバース分岐(10:10-10:15)→池山吊尾根分岐(10:40-10:50)→北岳(11:20-11:35)→池山吊尾根分岐(11:50)→トラバース分岐(12:05-12:20)→八本歯ノコル(12:35)→八本歯ノ頭(12:50)→ボーコン沢ノ頭(13:35-13:45)→砂払(13:55)→幕営地(14:35)幕営
<1/9>
幕営地(07:45)→城峰(08:05)→池山小屋(08:40-09:00)→あるき沢橋(11:00-11:15)→野呂川発電所(11:45-11:50)→鷲住山入口(13:30)→夜叉神峠登山口ゲート(14:50-15:10)<タクシー>甲府駅(16:00)<電車>都内

冬の北岳2泊3日の計画があがった。昨年夏に白峰三山を1泊2日で縦走したが、冬の南アルプスは未体験。天候がよければ大丈夫とのことで参加する。

7日
新宿発23時54分発ムーンライト信州号で甲府駅へ。車内登山客は極まばら。甲府駅で降りた登山客は我々の他に1人だった。駅前にタクシーの待機はなかったが、乗り場にいるとどこからともなく1台やってきた。夜叉神峠登山口ゲートまで雪が全くない。これなら自家用車でも大丈夫だったのに…と思いつつ11,420円支払う。ゲートは朝6時を過ぎると係員がいて通るのに大変苦労すると『岳人』に書いてあったので、このまま通行してできれば鷲住山入口辺りでの幕営を予定していた。シャッターが閉まっている夜叉神トンネルに入る。トンネル内はとても暖かい。長いトンネルを抜けてしばらく林道を歩き、またトンネルを抜けて…幾つ通ったろうか。ヘッドライトを頼りに鷲住山入口を探しながら進むがなかなか出てこない。1時間歩いたところで林道の隅にテントを張り、仮眠をとった。コンクリートの上のせいか、底冷えして眠りは浅かった。朝外に出てみるとテント内より暖かい感じがして驚いた。準備を整え、林道を進む。青空に白い間ノ岳が大きく映える。程なく慰霊碑があり、ここが鷲住山入口だろうと思うが道標がない。でも間違いないよね、ということで急な踏み跡を下り始めるものの、やはり変だ。地図を見直してみると慰霊碑の少し先のよう。もっと早く確認すべきだったと反省。登り返す。林道をさらに進むとすぐに右にカーブする所の左側に道標を発見。緩やかな登りをしばらく進み、鷲住山頂上がどこだかはっきりしないまま下りになる。急坂を下りながら、帰りにここを登り返すのかと思うと若干気が重くなる。約1時間で野呂川発電所に着いた。吊り橋を渡り休憩の後、急坂を少し上がって林道に出る。そこからまたほぼ平坦な林道を歩き、約40分であるき沢橋に着いた。いよいよ池山吊尾根だ。地図からはかなりの急登が予想される。池山小屋まで約3時間の予定。たっぷり行動食をとって出発する。それにしても雪が少ない。1ピッチ目の急登は全く雪がなく、秋山を歩いているよう。2ピッチ目から所々雪が出てきた。陽のあたる暖かい平らなところまで頑張って登ると、3ピッチ目は比較的緩やかになり雪もほどほどに出てきた。その後平坦な道を進み、開けた池に出た。小屋には既に2パーティ(3人組と2人組)がテントを張っている。ここでやっと10cm位の積雪。我々はここから城峰あるいは砂払辺りまで行って幕営の予定だが、意外に暖かいことに加え、急登の連続で汗をかいたせいで行動水がなくなったので、バーナーを出し、雪を融かして水を作った。雪が少ないせいかゴミが多く、そのまま飲むと喉越しが悪そうだったので、バンダナで濾したのち紅茶にしてテルモスに入れた。小屋から雪道を約1時間で城峰に到着。テントを設営するには適さず、幕営適地を求めてさらに進む。岩に雪が張り付き、たまに凍っている急登を40分程進んだところで右の一段低くなった所にテントを張っている。登山道脇にもう一張り出来そうだが先に進むことにした。さらに10分程進むと一張分のスペースあり。若干登山道にはみ出てしまうが、先にもあまりなさそうだし時間的にギリギリだったので本日の幕営地をそこに決めた。雪を沢山集め、湯を沸かし、焼酎で温まる。夕食はフリーズドライの豆腐チゲスープとマーボー春雨とアルファ米。20時就寝。

8日
5時起床。前日作っておいた水はテント内でも氷が張っていた。ラーメンとお茶を飲み準備をする。今日はテントをそのまま、不要な荷物をデポして行く予定。アイゼンとスパッツをここから装着、念のためハーネスもつけて行くことにした。テント場から雲海に浮かぶ富士山が朝日を浴びて染まるオレンジ色をバックに綺麗な影絵を描く。今日も晴天だ。6時55分出発。出発後間もなくの朝焼けの富士山が美しい箇所で男性2人と単独1人が写真撮影をしていた。我々はそのまま進む。砂払までにテントを張れそうな場所を2ヶ所見つけた。樹林帯の限界である砂払手前には三張程のスペースがあり、一張デポされていた。森林限界を越えると素晴らしい眺望が開ける。写真をゆっくり撮った。ここからボーコン沢ノ頭までは約40分。雲海に浮かぶ富士山を背に進む。右手に鳳凰三山、早川尾根からアサヨ峰まで、あ~、6月はあそこをずっと縦走したのかぁ、ずいぶん歩いたんだなと感慨深い。その奥にまだ見ぬ甲斐駒。先月行った赤岳を筆頭に八ヶ岳の全貌が見える。左は夏に縦走した間ノ岳から西農鳥岳の稜線がよく見え、山はどっしり構えている。何と気持ちの良いことか。ボーコン沢ノ頭は風が強い。ここから八本歯ノ頭を経て吊尾根の稜線がずっと見てとれる。八本歯ノ頭まではバットレスが圧倒的な存在感を示す。雪に覆われきれない鋭い岩肌が何とも言えない厳しさと美しさを醸し出す。四尾根なら登れるよと言われ、その気になる私はかなり能天気。冬のバットレスは八本歯ノコルからトラバースして取付くという。八本歯ノ頭からの下り、事前の情報ではここからが核心部という。細い急な下りだが、これならザイルなしで大丈夫だろう、順調に下る。木製の梯子を下り、核心部に来た。上からみるとほとんど垂直に見える壁…ここはヤバそう。5m位か。フィックスが垂れている。ザイルなしで大丈夫でしょうというP。不安ながらも下りてみることにした。フィックスと岩に掴まりながら、一歩一歩慎重に足の置き場を選ぶ。恐怖で岩に張り付いてしまい、足元がよく見えない。何とか下りてホッとする。やっぱりクライミング練習の必要性を痛感した。八本歯ノコルから山頂まで約1時間20分の道標。地図では1時間、夏も1時間で山頂まで行ったのでその位かなと予想。トラバース分岐まで順調に過ぎ、しばし休憩の後、再始動。次第に風が強くなり、体が飛ばされそうになるのを耐風姿勢で凌ぐ。何度かPにザックを掴まれながら上のトラバース分岐に出る。その途端さらなる強烈な西風の洗礼を受けた。一歩出すのも困難で立ち止まってしまう。ザックが2個デポしてあった。行けるだろうか…完全に怯んでしまった。耐風姿勢を取りながら少しでも風が弱まるのを待つがその気配は一向にない。ザイルを出そうかと言われるが、それで行けるとは思えなかった。まずは完全防備しよう。ゴーグルをし、肌が一切露出しないように整えるとようやく行ってみようかという気になった。歩き出してしばらくすると3人組と2人組が下りてくるのとすれ違った。その頃先ほどの突風がうそのように風が弱まる。あそこは風の通り道だったのか…素晴らしい景色を見下ろしながら山頂に到着。結局休憩を入れると八本歯ノコルから1時間40分かかった。360度の大パノラマを堪能する。仙丈ヶ岳が大きく聳え、6月に行った大仙丈沢がV字に白い急な斜面を美しく描く。八ヶ岳の雪も少ない。今年は例年になくあまり降っていない様子。中央アルプス、北アルプスの雪を被った山並が美しい。相変わらず富士山は端麗な姿を惜しまず見せている。二人組と写真を撮り合い、山頂を後にした。間ノ岳、西農鳥岳への稜線、その向こうに塩見岳を見ながら下る。いつかは冬に白峰三山を縦走したい。塩見岳にも足を延ばしてみたい。山に来るといつも次への期待が膨らんでしまう。景色を楽しみながら来た道をゆっくり戻った。八本歯の岩登りは下りと違いすんなり通過。森林限界手前で今日一日楽しませてくれた山々に別れを告げ、幕営地に戻った。まだ時間が早かったので小屋まで行くことも検討したが、明日下るにしても1時間しかかからないこと、雪の量からしたらこちらの方が断然いいこと、テントを畳んで再度出発するのも億劫なことから今宵もここで過ごすことにした。昨日と同じ要領で水を作り、焼酎で温まった後、フリーズドライの豚汁とカレー、アルファ米で夕食をとった。21時就寝。

9日
朝、雪が舞っていた。積雪は3cmほどか。7時45分出発。池山小屋まではアイゼンをつけた。小屋の近くではかなり雪が少なくなり、岩が露出し歩きにくかった。約1時間で小屋に到着。アイゼン、スパッツを外し、休憩。あるき沢橋までの急坂は途中からほとんど雪はなかったが傾斜がきつく若干消耗した。ほぼコースタイム通りであるき沢橋に到着。林道を経て野呂川発電所からは最後の急登である。ここにきての登りは冬の北岳には付き物とはいえ辛い。ゆっくり登る。鷲住山ピークは木に赤いテープが巻いてあり、山の名前と標高が薄いマジックで書いてあるだけのものだった。行きに気付かないのも仕方なし。鷲住山入口からは林道をゆっくり歩き、再び長いトンネルを通って夜叉神峠登山口ゲートに戻った。トンネルを出るとドコモの携帯が通じ、芦安タクシーを呼ぶ。20分程できたタクシーに乗り甲府駅へ。特急かいじで帰路に着いた。

この三連休で北岳に入ったのは単独1人、20代風男性3人、50代風男女2人、我々2人、30代風男性2人、単独1人で計11名。タクシーの運転手によるとお正月はいつも少ないのに今年は50人位入ったとのこと。例年より雪はかなり少ないとのことだった。
日本で2番目に高い山に厳冬期登って来られたのは、何より天候に恵まれたこと、Pのサポートがあってこそだった。今回もお天道様と先輩に感謝。(R)
鷲住山入口道標
雲海に浮かぶ富士
砂払より間ノ岳
砂払より農鳥岳
砂払より鳳凰三山
砂払より八ヶ岳
砂払より間ノ岳、農鳥
森林限界の砂払にて
気持ちのよい雪面登行
ボーコン沢ノ頭にて北岳が姿を現す
北岳を正面に進む
雪化粧のバットレス
八本歯ノ頭へ向かう
八本歯ノ頭を過ぎ、振り返る
八本歯ノコルまでにフィックスが垂れている箇所もある
尾根上にトレースが見える
フィックスの箇所を下り終え、振り返る
痩せ尾根のトレースを辿る
鳳凰三山
池山吊尾根を振り返る
右手にバットレス第四尾根
猛烈な強風に屈せず頂上へ
仙丈ヶ岳
中央アルプス
本邦第二の高峰から望む第一の高峰
甲斐駒
八ヶ岳
仙丈と北アルプス
ほとんど雪の着いていない頂標
ボーコン沢ノ頭までの吊尾根
山頂にて
白峰三山縦走路を正面に据え、足取り軽く下山開始
吊尾根分岐上のトラバース
間ノ岳への稜線
シュカブラを見ながらの帰り
左側は切れ落ちている
行きは富士を背に、帰りは富士を前に
なだらかな八本歯ノ頭‐ボーコン沢ノ頭間
北岳にお別れを
お天様よ、ありがとう
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