八ヶ岳 阿弥陀岳 南稜 2011/12/29-30
メンバー: P(CL)、M、R
天候: (29日)晴れのち曇り、(30日)晴れ
タイム:
<12/29>
新宿駅(前日22:00)<マイカー>舟山十字路(00:30-07:00)→旭小屋(07:45-08:00)→立場山(09:50)→青ナギ(10:10-10:25)→P1→P1-P2のコル(11:30)幕営
新宿駅(前日22:00)<マイカー>舟山十字路(00:30-07:00)→旭小屋(07:45-08:00)→立場山(09:50)→青ナギ(10:10-10:25)→P1→P1-P2のコル(11:30)幕営
<12/30>
P1-P2のコル(07:35)→P3ルンゼ取付(08:20-08:35)→P3ルンゼ上(10:00)→阿弥陀岳(10:45)→御小屋山(13:15-13:30)→舟山十字路(14:20)<マイカー>都内
P1-P2のコル(07:35)→P3ルンゼ取付(08:20-08:35)→P3ルンゼ上(10:00)→阿弥陀岳(10:45)→御小屋山(13:15-13:30)→舟山十字路(14:20)<マイカー>都内
阿弥陀岳南稜、厳冬期バリエーションルート。初心者の自分がいけるものなのだろうか??CLに問うと大丈夫との返答。喜んで参加を決める。
どんな所なのか知識なく、ネットや雑誌の報告をチェック。エッ??一部クライミングもあって、何だか大変そうだけど…準備段階から大変不安になる。しかも前回の赤岳のように荷物をデポして行くのではなく、そのまま担いでの登攀。できるだけ荷物を軽くしよう。食糧係の自分は先輩の許しを頂き、アルファ米&フリーズドライを準備した。
28日
22時新宿集合。車で舟山十字路へ。駐車場手前から少し雪が出てきたものの、運転にはほとんど支障なし。今年は雪が少ない。24時30分着。テントを張り、すぐに就寝した。
29日
5時半起床。さすがに寒い。2人組から南稜の方向を尋ねられた。各自行動食を摂取。6時半頃明るくなり、出発準備をした。駐車場をそのまままっすぐ進むとゲートがある。こちらからも南稜へ行けるが、旭小屋を通らないとのこと。ゲートの手前を右に進むと20分程でゲートに着いた。ここから凍った沢を滑らないように注意しながら何度か徒渉。25分で旭小屋に着いた。この後は登りが続く。休憩した後、小屋の前から後ろにまわりこむように続く踏み跡を進んだ。雪の少ない登り。陽が当たる所は完全に溶けてしまっている。本日のテン場の雪が心配になる位。傾斜が緩やかになり、立場山に到着。山頂標が控え目で危うく気付かず通り過ぎるところだった。程なくして青ナギに到着。青ナギ手前に一張張れる位のスペースがあるが、まだ早いので先に進むことにした。正面に明日挑む阿弥陀岳南稜のスカイラインがくっきりみえる。右に西岳、権現岳、左に伸びる御小屋尾根、その下が中央稜と聞く。天気がよく見晴らしもよいが、やはりじっとしていると冷えてくる。休憩ののち先に進む。急登になりピッケルを出す。急に開けてP1に到着。さすがに風が強い。右手に赤岳天狗尾根が急峻なスカイラインを描く。赤岳から旭岳に至るキレットの細い稜線が伸びている。少しヒヤッとするトラバースを慎重に通過し、本日のテン場、P1-P2のコルに到着。風を避けて東側に一段落ちた所に二張くらい張れるスペースがある。11時半とまだ早いのでこのまま進もうか迷うが、進むと山頂までスペースがないであろうこと、ガスってきたのでピークに立っても展望は得られないであろうことから、本日はここで幕営し、明日の天気に期待することにした。
テントを設営していると数パーティが通過。いずれも途中で幕営するのではなく、ピークまで抜ける模様。設営後、時間があるので焚火をしようということになる。枯れ木や着火剤になるという木の皮を集める。下に生木を敷いて火をつけた。大きくはないが火は暖かい。今回、荷物を持っての登攀のため、自分の荷物を出来る限り減らすように努めた。お酒は持っていきたかったけれど、いろんな記録を読んでビビってしまったので自分の力を考えて諦めた。しかしこんなに時間があるなら持ってくればよかった!!大後悔をしながらMの持ってきてくれた200mlのウィスキーを3人で大切に頂いた。焚火のそばにいてもやはり外、テント内が恋しくなる頃、集めた木が燃え切り、撤収する。
17時にアルファ米とフリーズドライのカレー、とん汁で夕食。翌日の水をたっぷり作り就寝。
30日
夜中、雪の降る音で目覚めたが、朝起きてみると積雪は少量だった。曇りがちだが東の方に朝焼けが美しい。バリバリに凍ったテントやポールを撤収、スパッツ、アイゼン、ヘルメットを身に着ける。クライミングも夏に三ツ峠で1回だけ、アイゼントレもしていないのにこんなところに連れて来られて気の毒だよねと言われる…それは今言うことではない、怖がらせるなボケッ!!と心の中で毒づく。P2までの登りはあっという間だった。P2から何度か慎重にトラバースし、P3ルンゼの取付にでた。核心部といわれる所。ザイルを準備。Pの8.5mm×50mのザイルの末端を八の字に結び、カラビナにかける。ループは小さい方がよいとのことでやり直す。Mのザイルも同様にPとMに繋いだ。斜面から塵雪崩が絶え間なく落ちてくる。始めの登り口はクライミングだ。岩に雪が少し付いている程度。トップのPは正面から登る。ここはちょっと難しいとのこと。ザイルがどんどん引かれていき、残り数メートルとなる。ビレイしているMがPに知らせようと何度も叫ぶが返答なし。笛を吹くと、そのうちザイルの動きが止まり、少しすると自分のザイルが引っぱられた。さて、いよいよ。Pのルートはリーチがなく難しそうだったので、右にある番線を使って行くことにした。しかし番線は緩く、しっかり力をかけられない。出っ歯でしっかり立てれば大丈夫との言葉を信じ、爪で立ち、番線を握って体を持ち上げた後、岩をつかんで這い上がった。そこを抜ければあとはキックステップでひたすら登るだけだ。ふくらはぎが攣りそうになりながら、休まないと決めてひたすら登る。見上げるとPはまだまだ遠くにいる。途中止まるよう指示されてやっと休んだ後、再始動。灌木が2本あり、Pはそこからセルフビレイをとっていた。自分もインクノットでセルフビレイをとる。Mはあっという間に上がってきた。2ピッチ目はMがトップ。途中苦労しているように見えたが、突破してビレイをとる。MとのザイルとPとのザイルを両方カラビナにかけて出発。Mが苦労していたところに来た。Pにあそこは左から行った方が楽だから、と言われたが、実際に行ってみるとトップの後を行くしかないことに気付いた。壁になっていて体が持ち上がらない。しびれを切らしたPが確保なしで上がってきた。この壁の前にどれほどいただろう。実際には10分程度だったようだが自分には30分位に感じた。何とか這い上がり突破。余計に寒い思いをさせてしまった二人に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。やはりクライミングを練習しなければ。上がりきったところで休憩。晴天で南アルプス、中央アルプス、北アルプスを見渡す。富士山が近くにデンと聳えている。この後山頂まで、はっきり言ってあまり覚えていない。P4をのぼった記憶が薄いのだ。P3に比べれば全くたいしたことはなかった。あっという間に山頂に着いた印象。
山頂には他に1パーティいて、ザイルを解いていた。360度のパノラマを堪能し写真をとると素早く下山。御小屋尾根を下った。樹林帯に入る手前で風が弱まり、そこで休憩。やっぱり展望のきくところでの休憩は楽しい。諏訪湖までずーっと見渡せる。ひたすら下り、樹林帯に入って岩が出始めた所でアイゼンを外す。いつもなら途中で嫌になってしまう長い下山。今日は足取りが軽い。初めての冬季バリエーションルートで無事登れた嬉しさのせいかもしれない。がっちりサポートしてくれた先輩方に感謝。コースタイムよりだいぶ早く下り、舟山十字路の駐車場に到着。車に張り付いた雪と氷を融かして帰路についた。(R)