三国 荒沢山 カドナミ尾根~足拍子岳 南尾根 敗退 2011/01/22-23
メンバー: P(CL)、M、B
天候: 雪(両日とも)
タイム:
<01/22>
大宮駅(06:28-07:00)<電車>土樽駅(10:04-10:20)→蓬橋(10:30)→カドナミ尾根取付(11:00)→ビバークポイント(16:00)
大宮駅(06:28-07:00)<電車>土樽駅(10:04-10:20)→蓬橋(10:30)→カドナミ尾根取付(11:00)→ビバークポイント(16:00)
<01/23>
ビバークポイント(08:00)→主稜線上(10:05-10:10)→ビバークポイント(10:35-11:00)→カドナミ尾根取付(13:20)→蓬橋(13:35-13:45)→土樽駅(13:55-13:59)→越後中里駅(14:06-15:25)→東京
ビバークポイント(08:00)→主稜線上(10:05-10:10)→ビバークポイント(10:35-11:00)→カドナミ尾根取付(13:20)→蓬橋(13:35-13:45)→土樽駅(13:55-13:59)→越後中里駅(14:06-15:25)→東京
昨年の西ゼン遡行のとき、振り返った先にその山容のせいで大源太山と見誤った山があった。足拍子岳である。今回はその足拍子の主稜線を中里スキー場から歩き、足拍子岳南尾根を下る計画。しかし、直前の天気予報や積雪状況、ラッセルが初めてのメンバーがいることなどから、行きの電車の中で急きょ予定変更。カドナミ尾根から荒沢山へ登り、足拍子岳への主稜線を縦走後、南尾根を下ることにした。このルートの適期はもう少し遅い雪の落ち着いたころのようだが、あえて猛烈なラッセルを求めた。
22日、週末のみ運行している「シーハイル上越」に、下りの始発駅である大宮駅から乗車。7時ちょうどに出発するその快速電車は6両編成で、3~6号車が指定席、1~2号車が自由席となっている。当日の朝でも指定席券(510円)はまだ売り切れていなかったが、自由席車両に座席を確保するべく6時半に大宮駅に集合した。
清水トンネルを抜けてすぐの土樽駅に降り立つと太平洋側とは一転、曇天の下を雪がちらついていた。駅には他の登山客が仲間と待ち合わせている様子で、「滑る」「滑らない」などと言っているあたりから察するに、仙ノ倉山~平標山の北側の谷あたりを滑るつもりだろうか。
支度をして駅を出ると、徐々に雪が強くなってきている様子。蓬橋を渡ると一台の車が停まっていた。さては先行パーティが入っているかー。ラッセルを期待してきただけに残念なり。ワカンなしでトレースを追うと、ほどなくして林道のど真ん中に先行者が一人でいた。話をしてみると登山者ではなく、何かの調査をしている人であった。彼のトレースはここで終わっていたので安心した。
そこでワカンを着け、ラッセル開始。まださほど深くはない。カドナミ尾根の取付にある一軒のペンションのような建物が見えてきた。その裏から急な樹林の中をラッセルしていく。MとBは二人とも今回が初めてのラッセルらしいラッセルであった。Mはすぐに要領を得たが、Bは早々にバテたせいかなかなか要領がつかめないでいた。背後には関越高速と上越線が見え、その向こうには数年前に閉鎖された土樽スキー場の白い斜面も見える。それらと比べると、なかなか高度を稼げていないことが分かる。じりじりと高度を上げていくいくしかない。膝から腿くらいのラッセルが続きしんどいので、先頭を5分で交代していくことにした。
尾根末端の急登を終えると一旦なだらかになる。またすぐに急登が始まり、しばらくするとふたたびなだらかなになった。樹林がまばらになり、尾根上に雪を被った松が数メートルの間隔をあけて生え、右手の南カドナミ沢側に小さな雪庇が出ている。雪は一向に止む気配なく、晴れていれば見えてもよさそうな主稜線は全く見えてこない。今日中には余裕で出られると見込んでいた主稜線にたどり着くことさえ難しくなってしまった。時刻は16時。比較的なだらかな場所で整地、幕営。
レトルトのカレーで晩飯を済ませ、500mLの焼酎はあっという間になくなった。明日の予定を相談し、19時半にシュラフに入った。
23日、予定の5時半に目覚めると、天幕の1/3の高さくらいまで雪が降り積もっていた。夜中、それに圧された天幕とこちらへ寄ってくる隣のBに挟まれ息苦しかったのだが、それだけではなく、実際は天幕内が酸欠になっていたのだ。ベンチレーターは塞がれていて、唯一外気を取り入れていた天幕の前室の入り口は積雪で完全に塞がれていた。ガスバーナーに火をつけようにも無反応。慌ててベンチレーターを開け、前室の雪を蹴散らかした。その時に気付いたのだが、昨日のここまでのトレースは跡形もなく消え失せていた。
朝飯は具沢山のうどん。それも生麺のうどんだ。さすがにうまい。乾麺よりは明らかにうまいが、うどん4玉で約1kg。軽量化を徹底させることができなかった。残念なり。今後、出発前に装備(食糧を含め)について相当つめなくていけないようだ。
7時には出発したかったのだが、なんだかんだで8時になってしまった。天幕を撤収し、近くにある松の根元にザックをデポし、カラミで出発。昨日よりもさらに降り積もった中をラッセルしていく。平均して腰から胸の、時には肩以上の深さのラッセル。ここまでの深さになればもはや笑うしかない。昨日と同様に5分交代で進むが、Bは今日も早々にバテているようで、ほとんどMとの二人でラッセルしていく。晴れていれば見えているはずの方向にたびたび目を凝らし、まだ見ぬ主稜線を探しながらのラッセルは続く。
出発して2時間ほど経ったころ、ナイフリッジが現れた。左手の北カドナミ沢側はスッパリ切れている様子。一方、右手の南カドナミ沢側の傾斜はさほどでもない。ナイフリッジはほんの20cm程度の雪が被っている岩尾根であった。ワカンを着けたままだったので、南カドナミ沢側を巻き気味に通過した。
ナイフリッジを過ぎると、正面に主稜線のものと思しき「スノーモンスター」が立ち並んでいた。最後のラッセルをこなし主稜線へ。吹雪いていて軽いホワイトアウトのため確信は持てないが、おそらく主稜線だろう。時刻は10時5分。10時には主稜線に着かなくても引き返すことにしていたのだから、なんとかギリギリで主稜線に着いたことになる。
ここがカドナミ尾根と主稜線との合流点ならば荒沢山山頂は目と鼻の先のはずだが、ここで引き返すこととした。5分ほど写真を撮るなどしてすぐに下山。デポ地までは30分とかからずにたどり着いた。デポ地からは再びラッセルとなる。下りのラッセルとはいえ、腰まであるのには閉口した。途中で左膝の裏の筋を痛めてしまったが、その足を手で持ち上げてやり過ごす。2度ほど尾根を外れ、登りの際のルートを見失ってしまったが、その度に修正がおおよそうまくいき、最終的には尾根の取付にある建物のところへ出ることができた。
林道を蓬橋へ向かうと、昨日の人とは違う人が同じような場所でやはり何かを調べている様子。そこからはトレースがあり、蓬橋で除雪された道に出た。ワカンを外し、土樽駅へ向かう。
次の上り電車まで1時間半近く待たねばならず、駅周辺にお店が何もないので、数分後に来る下り電車で、スキー場がある隣の越後中里駅へ行くことにした。ビールを飲むためである。スキー場の建物内で小一時間ほど時間を潰し、上り電車に乗った。
残念ながら荒沢山すら踏めなかったが、ラッセルは十分堪能できた。このカドナミ尾根や足拍子岳南尾根は新人のラッセル訓練に使われるようだが、今回のような積雪量ではなかなか厳しいものになるにちがいない。このラッセルを平気でこなせればどこででも対応できるだろう。そういう意味では今回よいラッセル訓練になったのではないだろうか。(P)